マイクロソフトのYahoo!買収について

ひと段落ついたようですので、マイクロソフトのYahoo!買収について、流れを振り返りながら思ったことを書いておきます。

2005年から米Microsoftと米Yahoo!は買収について協議を行っています。

2006年の時点でYahoo!は独自路線でGoogleに対抗するとし、両者の協議は終了し、Yahoo!の独自路線は2007年度の事業計画に「パナマ計画」、「ソーシャル検索」として打ち出されました。

パナマ計画とは、オーバーチュアに変わるYahoo!の広告方式で、広告の表示順位を単に入札価格だけでなく、広告の質や効果を元に決める仕組みで、他にも地域別に広告が出稿可能になったり、広告承認までのフローの短縮化、など様々な広告出稿に関する改変が盛り込まれた計画です。

そして、2008年2月1日マイクロソフトは再びYahoo!に対して買収を持ちかけます。

前回の交渉が完全に水面下で行われたものであったのに対して、今度の交渉は完全にオープンな形で行われました。

これは、マイクロソフトがYahoo!の経営陣に対して買収を提案したのではなく、Yahoo!の株主に対して買収を提案するというスタンスを取るためだったのでしょう。

おりしも、株式市場はサブプライム問題により疲弊しきっていた為、株主に訴えるという方法は非常に効果的でした。

事実、この提案で20ドル近くだったYahoo!の株価は30ドル近くまで跳ね上がることになります。

マイクロソフトの買収提案額は31ドル、33ドルまで支払う準備はあるとしたものの、Yahoo!はパナマへの大規模投資、今後の成長見通などを考慮した場合、Yahoo!の株式価値は37ドルに相当するとして、マイクロソフトの買収提案に対して拒否を表明しました。

Yahoo!は買収防衛策としてAOLとの合併交渉や、Googleと提携を行い検索広告に関して試験導入を開始。

Yahoo!とGoogleの検索広告に関して提携は米司法省が独占禁止法違反の疑いがないかどうか調査に乗り出しています。

Googleは、マイクロソフトのYahoo!買収に対して「Webメールやインスタントメッセンジャーの分野で独占禁止法に反するのでは!」とコメントしていただけに皮肉といえば皮肉ですね。

マイクロソフトは当初敵対的買収まで示唆していたが、5月3日に「GoogleとYahoo!の提携」を理由にYahoo!の戦略を非難、独自の戦略でGoogleを追求していくとして、買収劇の一幕が閉じました。

今回の買収劇でマイクロソフトは勝ちはしなかったが、負けもしなかったように思います。

しかし、Yahoo!は非常に多くのものを失ったのではないでしょうか?

最初の買収について協議を拒否し、選択した独自路線、パナマ計画による新広告プラットフォーム。

そして、「Yahoo!の株式価値は37ドルに相当」の理由を担っているとした、新広告プラットフォーム。

しかし、実際は新広告プラットフォームではなく、Googleの検索広告を利用するのが最適としてしまいました。

Yahoo!は株主からの信頼と新広告プラットフォームの可能性を失ってしまったのではないでしょうか?

個人的には一部で噂されている第2幕が楽しみです。

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