これからjQueryを始める方へ -入門書の選び方・読み方-

先月「Web制作の現場で使うjQueryデザイン入門(以下、ドーナツ本)」の改訂版を出版し、昨年末は「やさしくはじめるWebデザイナーのためのjQueryの学校(以下、jQueryの学校)」の監修をおこなっていたので、ここ半年はずっとjQueryを始める方が、何を求めているか何でつまづいているかを改めて考えなおしておりました。

入門書の選び方

まず、最初に重要なのはどの入門書を選ぶかということ。

「ドーナツ本」は3万部を売り上げた人気書籍なわけですが、すべてのユーザーにマッチする本ではないと思っています。

この書籍を執筆はじめた当時はjQueryの書籍といえば「jQueryで作る Ajaxアプリケーション」や「実践!Ajaxフレームワーク jQuery」などしかなく、競合書籍として確認しましたが、プログラマー向けの書籍でした。そこで「ドーナツ本」では「Webデザイナー・マークアップエンジニア向け」として、難しい処理や用語を極力使わず様々な表現やUIが作成できるようになるように構成されています。

たとえば、変数の利用を極力行っていないというのもドーナツ本の1つの特長です。

変数はプログラミングの重要な機能ですが、最初に記述した内容を後で使い回すためサンプルのソースコードの全体を理解しないと、サンプルが理解しにくいという欠点があります。入門というフェーズにおいては1行づつ理解していく方が習得が速いので、「ドーナツ本」ではなるべく1行で1つの処理が完結するように心がけています。

そのため、「ドーナツ本」では変数の効率的な利用方法が学べられないという欠点につながっています。「jQueryの学校」を含め他の入門書などは変数を使うことを前提としているものがほとんどですのでここは大きな違いでしょう。

「ドーナツ本」や「jQueryの学校」と同じく、Webデザイナー・マークアップエンジニアをターゲットとした書籍で、「Webデザイナーのための jQuery入門(以下、zudo本)」という書籍があります。

当初、「ドーナツ本」の競合と思っていましたが、読んでみると実はターゲットが違いました。ここらへんは「Webデザイナーのための jQuery入門」という本を書きました - Takazudo hamalog」を読んでもらえるとなんとなくわかると思いますが、zudo本はプログラミング未経験者が、jQueryを利用してプログラミングのきっかけを覚えることを1つのテーマにしているように感じます(予想ですが)。「ドーナツ本」のなるべくプログラミングの知識を利用せずに様々なUIつくるとは、すこしコンセプトが異なります。

「jQueryの学校」は監修中に何度も読んだのですが、「ドーナツ本」と「zudo本」の間ぐらいにコンセプトがおかれているように思います。プログラミングのテクニックも利用し、1つのサンプルに対して様々なケースを想定した解説が行なわれています。「2冊目の著書 - やさしくはじめる WebデザイナーのためのjQueryの学校 - あとがき」を読むと筆者のコンセプトがわかるかもしれません。

このように「Webデザイナー向けのjQuery書」という分野でも、筆者のコンセプトや考え方により書籍は書かれています。

また、私は「jQuery逆引きマニュアル Webデザインの現場で役立つ基本と実践」という書籍も執筆しており、これは他の言語をやられている方や、すでにjQueryの基礎を分かっている方の再入門用そして次のステップへをコンセプトに書きました。ターゲットにマッチした方からは高評価をいただいているのですが、マッチしない方からは厳しい評価をいただいている一冊です。

まずは、自分に一番合致した相性のよい書籍を探すのがよいでしょう。とはいえ実際に読んでみないと合うか合わないかはわかならいというのが現実です。

入門書は浮気するもの

まずは、本屋などで立ち読みをして自分に合いそうな書籍を選び学習を始めましょう。

そして合わないなと感じたり、途中で難しくて読み止めてしまった場合は、遠慮無く他の書籍に浮気をしましょう。

入門書を何冊も購入するのは無駄な気もしますが、入門書と言っても同じ内容を別の角度から説明しているだけではありません。

3割ぐらいは他の入門書で触れられいない内容を含んでいます。たとえば「ドーナツ本」ではjQueryのTraversing系の機能に関してはほとんどふれておりませんが、「jQueryの学校」ではTraversing系の機能について解説をおこなっており、
また、「jQueryの学校」ではAjaxに関しては解説されていませんが、「ドーナツ本」ではAjaxに関しても解説していると言った感じです。

また、同じ内容を別の角度から説明している残りの7割に関しても、様々な著者が重要だとかんじている箇所ということです。さまざまな入門書で理解を深めることは入門というフェーズでは非常に重要です。

ぜひ、あなたにマッチする良書に出会うまで浮気を繰り返してください。

最後に宣伝ですが、5月16日に行なわれるCSS Nite in Ginza, Vol.69「ドーナツ&マカロン、ハーフ&ハーフスペシャル」でjQueryの入門に関しての講演を行ないます。無料のセミナーですので書籍では覚えられないという方はぜひチェックしてみてください。

Web制作の現場で使うjQueryデザイン入門[改訂新版] (WEB PROFESSIONAL) やさしくはじめるWebデザイナーのためのjQueryの学校 Webデザイナーのための jQuery入門 魅力的なユーザーインターフェースを手軽に作る (Books for Web Creative)

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